美空 Vol.49 
4/20

会には大阪ミナミ、キタ支社があり、キタ支社の句会開催地は、阪急不動産の会議室。田中さんは仕事が終わると俳句づくりに勤いそしんだという。「最初は見よう見まねでしたが、季語の奥深さ、宇宙のことから人生、時事ネタまで伝えられる俳句に、どんどん夢中になりました」。会社の移転に伴い「雲母」のキタ支社は6年ほどで解散したが、田中さんはその後も句会に投句を続け、腕を磨いてきた。「人に贈ることができるのも、俳句の魅力。仲人を務めた際はご夫婦にお祝いの句を、子どもたちの誕生日や節目には激励の句を。ときには弔句を詠むこともありました」。4 奥さまを看取ったのは、今から7年前のこと。その後1年間、自宅で一人暮らしをしていた田中さんだったが、自宅庭で転倒し、骨折したことで、リハビリ病院に半年間入院。折しも東日本大震災があったこともあり、これからの一人暮らしに不安を覚え、「施設を探してくれないか」と、ケアマネジャーをしている次女の慶子さんに相談をした。 「『グッドタイム リビング』は、春山満さんが手がけたこともあり、もともと興味があったんです。見学してみると、身体に不自由があっても自分らしく暮らせること、入居者の尊厳を大切にしている様子が伝わってきました。父も〝ここ上・左/俳句をつくるときは奥さまの写真のある居室のデスクで。下/先日は『GTL池田緑丘』との合同俳句会。講師でもある田中さんの元にメンバーの句が集まる。GTCの句集『春の山』の表紙挿絵は、同会の森井さんと笠井さん作。タイトルは故春山氏の名前にちなんでいるという。3人の子どもは皆『GTL尼崎駅前』がある阪神線沿線に暮らす。この日は娘の秀子さん、慶子さんと外出。なら安心〟と気に入った様子でした。仕事や俳句で忙しい中、新しいビルができる度に私たちを梅田に連れて行ってくれた父。思い出の梅田が近いこともポイントでした。また、入居が決まってからは、自宅から運び込む荷物の相談に乗ってくださったことも、心強かったですね」 『GTL尼崎駅前』では驚きの出会いがあった。「浪高の先輩である森井英雄さんが入居してこられたんです。約70年振りの再会でした。以来、一緒に散歩や宝塚歌劇の観劇に出かけています。人生は出会いの旅だと言いますが、森井さんとの再会は、新しい暮らしに一歩踏み出したことへのご褒美のようでした」。 森井さんとは、GTC「俳句しま専科」でも一緒に活動している。「GTCには俳句の初心者の方もいらっしゃいますが、みなさんどんどん上手になられていますよ。“八十の手習い”とはこのこと。私も、ここで暮らすようになってから、日常生活に不安がないせいか、これまでの人生を振り返る余裕ができました。また、外出や人とのふれあいの機会が増えたこともあり、いい句が詠めるようになりましたね」と田中さん。GTC「俳句しま専科」では、会を50回重ねるごとに、句集『春の山』をつくっている。4月には3集目ができる予定だ。八十路こえ 生きるよろこび 初手ちょうず水 田中さんにとって、俳句は実り豊かな人生そのもの。これからも『GTL尼崎駅前』での暮らしを、句に込めていくのだろう。

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る